アロマのコラムはもちろん、私たちの心と体について、解剖学や健康学、女性学を絡めた豆知識も紹介していきたいと思います
ランチの後、電車の中など、少しの時間でさっと読めるものにしますので、時々、チェックしてみて下さいね
カモミール(Chamomile)は、古くからヨーロッパの家庭で薬草として用いられてきたハーブです。
特にジャーマンカモミール(Matricaria chamomilla)は、炎症を鎮め、消化器系・神経系のバランスを整える作用で知られています。
■ 主な有効成分と薬理作用
* アズレン(Azulene)・カマズレン(Chamazulene)
精油成分の一種。
抗炎症・抗アレルギー作用があり、胃粘膜の炎症や皮膚炎の改善に寄与します。
蒸留中に生成される青色の成分で、鎮静・抗ヒスタミン作用も確認されています。
* ビサボロール(α-Bisabolol)
抗菌・鎮静・抗潰瘍作用をもつ成分。
胃酸過多や胃炎、PMSなどの不快症状を和らげるとされます。
* アピゲニン(Apigenin)
フラボノイドの一種で、中枢神経に穏やかに働きかける鎮静作用を持ちます。
ストレス性の不眠や緊張性頭痛の軽減が期待されています。
■ 生理・臨床的な作用領域
* 消化器系への作用
胃腸粘膜の炎症を抑え、蠕動運動を整えることから、消化不良・胃痛・鼓腸感などに適応されます。
また、ストレスによる胃の不快感(機能性ディスペプシア)にも有効とされます。
* 神経系への作用
軽度の不安・緊張・不眠に対する鎮静効果が報告されています。
ドイツでは、不安神経症に対する緩和目的でハーブティーまたはチンキ剤として使用されています。
* 皮膚・粘膜への作用
抗炎症作用により、湿疹・かゆみ・アトピー性皮膚炎のサポートにも利用されます。
内服だけでなく、外用(ハーブ浴や湿布)にも応用可能です。
■ 味と香りの特徴
カモミールティーは、リンゴを思わせる甘い香りが特徴です。
これは成分アンゲリカ酸エステルによるもので、香り自体にも鎮静作用があるといわれています。
味はまろやかでやさしく、苦味が少ないため、ハーブティー初心者でも飲みやすいのが特徴です。
ブレンドする場合は、ペパーミント(消化促進)やレモンバーム(神経安定)と相性が良く、 リラックス系・消化器系ブレンドのベースハーブとしてもよく用いられます。
■ 摂取の目安と注意点
1日1〜3杯を目安に、沸騰直後の湯で3〜5分抽出します。
キク科アレルギーのある方は注意が必要です。
また、妊娠初期の多量摂取は避けましょう(子宮収縮作用の可能性があります)。
■ メディカルハーブとしての位置づけ
カモミールは、神経性胃炎・不眠・月経痛・皮膚炎など幅広い領域でエビデンスが蓄積しているハーブです。
穏やかな作用ながら、長期的に体質を整える目的でも使用できるため、 日常のセルフケアに取り入れやすい“基本の鎮静ハーブ”といえます。
次回は、消化促進と頭痛緩和に優れたペパーミント(Mentha piperita)をご紹介します。
作用機序の違いを理解することで、症状や体質に合ったハーブブレンドが選びやすくなります。
Botanical Time
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